web講座– archive –
-
〈 講座02 〉ヴァイオリン弾きの体の使い方の「考え方」
[追記] 2012/11/8 この内容は、さらに詳しく具体的に新著に書かれていますので、是非そちらをご覧下さい ▶『ヴァイオリンを弾くための体の作り方・使い方』 レイトスターターを教えるようになって、ヴァイオリンを長い間弾いている人と大人になってから始めた人の体の使い方の差を、さまざまな角度から意識することになった。私自身が無意識にやっていることが、どのような体のシステムによって成り立っているのかを見直すことになったからだ。体の使い方をどのように考えるべきかという点について、いくつか... -
lesson 1-2「純正調と平均律の基礎知識」
音楽の理屈を知ること自体が目的ではないので、詳しくは書きませんが、純正調と平均律の話も、基本的なことは理解しておいてほしいと思います。 音は波です。人間の耳には、この波の周波数(一定の時間の空気の振動回数。通常は1秒間に何回振動するかで表示する)が、簡単な正数比にある二つの音を「美しい」(はもる、ということです)と判断します。チューニングをするときのA音は、通 常440Hzから443Hzの間の高さの音を使用します。440Hzとは、1秒間に440回振動することです。振動数が減ると音は低く、増える... -
〈2〉音律の基礎
(1)音律とは何か 結論から言うと、音律とはオクターヴをどのような間隔に分割するかという方法を示す。音律、すなわちオクターヴの分割方法はさまざまに提唱されてきた歴史的経緯がある。ヴァイオリンの演奏のために理解する必要な音律は、純正律、ピタゴラス音律および平均律の三つである(室内楽の場合ミーントーンを理解していた方がよいこともある)。各音律の違いは次項以下で述べるが、簡単に音律が必要である理由と歴史的な経緯を述べてみよう。 オクターヴが美しい音程であることは、古代ギリシャの時... -
2.レッスンと練習の関係性による分類に従ったレッスンと練習上の注意、総論
まず、レッスンと日々の練習の関係性による分類に従って、練習がどのようなものであるべきかを考えてみましょう。 1) レッスンで新しい技術を習得し、それを日々の練習で定着させること この分類に当てはまる奏法や体の使い方を正しく練習するためには、まず、レッスンで行われたことをしっかり理解することが必要になります。「なんとなく」運動を覚えるのではなく、その運動によって得られる結果を理解することが必要なのです。最初に補助をつけるものについては、補助をしたときと補助を取り去ったときの違い... -
lesson 1-3「弦楽器の発音」
第3回目は、弦楽器の発音についてです。そんなん、楽器の奏法のテクニックの問題じゃん、と言わないでください。アンサンブルにも密接に関係することなんです。 プロとアマチュアの差、と言ったときに、何を想像しますか。そんなもん、たくさんありすぎて・・・まあそう言わずに話を進めましょう。 弦楽器の達人とそうではない人にはっきりとした違いがあることの一つに、音の立ち上がり、があります。本当に上手な人たちに混ざって弾いていると、周りの人たちの音が「先に出てくる」ような感じがするときがあり... -
〈3〉ヴァイオリンの音程構造
(1)ヴァイオリンが本来持っている音程の基本構造1(純正音程) ヴァイオリンが持っている音程構造のうち、音の性質からただちに結論付けられるものが、弦長による音程の違いである(当たり前のことだが)。音程構造、などとご大層に語られるべきものでもないが、フラジオレット(ハーモニクス)の理解のためにも、波動の比を復習するためにも、弦長と音程の関係を見ておこう。 開放弦のG線上で、弦長と音の関係を確認する。音程は、弦長と反比例の関係にある。開放弦のG音を周波数1とすると、二倍音である... -
3.練習法の組み立て
まず、メニューインの言葉を引用します。 右手、左手を問わず、テクニックを向上させるさいには三つの段階を経る。第一の段階は関節を幼児のように柔軟にすること、これは各関節ごとにチェックする必要がある。第二の段階はその柔軟な動きを整合させ、弾力性およびバネの力を増進させること。そして最後にくる第三の段階は力強さ、堅固さ、自由さをさらに発展させること。この三つの段階は順序を変えては決して生じ得ない。たとえば堅固さが弾力性よりも先にきたとすると、硬直という悲惨な結果を生むだけに終わっ... -
〈 講座03 〉体の痛みが教えるもの
[追記] 2012/11/8 この内容は、さらに詳しく具体的に新著に書かれていますので、是非そちらをご覧下さい ▶『ヴァイオリンを弾くための体の作り方・ 使い方』 私のところに相談に見えられる方の中には、ヴァイオリンを弾いていて体をいためた人が何人もいます。私のところでレッスンをしていて体に痛みを生じた人たちもいます。この「体の痛み」について小考してみました。 まず、体の痛みを分類します。「どこが痛いか」という分類ではなく、「なぜ痛くなったか」という分類です。私が直接見たり話を聞... -
〈4〉音程に関する資料
(1)ピタゴラス音律、純正律、平均律の音程表 こうして、セント値を一覧表にすると、書く音律の性格がよくわかる。純正律とピタゴラス音律の完全5度(オクターヴ内で裏返せば完全4度)が数値として同じことや、長3度が純正律とピタゴラス音律で極端に乖離していることもよくわかるはずである。図表の数値を覚える必要はないが、ピタゴラス音律の数値は簡単に作ることができる。ピタゴラスサークル上で隣り合う半音は90セント、全音は204セントになるだけだからである。主音をCに取ると、短2度(D♭)が... -
4.スケール、分散和音を練習する意味と練習法
カール・フレッシュがスケール・ブックの前書きで述べているように、スケールを練習することは、音程感覚を身につけて実戦で利用できるものにすることと、さまざまなスキルアップを図る意味があります。 「音程」とは、音の高さの相対関係のことで、スケールと分散和音は、基本的な音のつながりを理解するために重要な練習です。と同時に、実際の楽曲でも旋律の基本となるのがスケールや分散和音なのです。よく引き合いに出すのですが、モーツァルトやベートーヴェンの曲に登場する旋律たちの多くは、スケールや分... -
〈 講座04 〉音感について 1
まずは、「音感」がテーマです。楽器を実際に演奏する事の前に、練習するということが何のためなのか、どのようなことを考えるべきか、知っていただくためです。「大人になって始める楽器・どんな曲が弾けるようになるのでしょうか」でも簡単に触れているのですが、少し詳しく書いてみようと思います。なお、これから書く文章群は、「大人になって始める楽器」を前提にしますので、そこで説明されている言葉は説明なしに使われていることがあります。ご了承下さい。 ◎ 音感って何だろう ◎ 「音感」という言葉は... -
lesson 1-5「スケールの音程」
前回、旋律と和音で、なぜ、どのように音程が違うのか、という仕組みの基礎を書きました。今回は、これを使って、「正しいスケールの音程とは何か」ということを述べます。 まず、下の表を見てください。右の三つの数値は、主音からどれだけ離れているか、ということを、オクターブの間を1200でとった対数値で示したもの(セント、と呼びます)です。和声の時に気持ちよく聞こえる幅、平均律、旋律の時に気持ちよく聞こえる幅、の順で記述してあります。 音階上の音 主音(ドレミのド) レ ミ ファ ソ ラ シ ド 和... -
〈 講座05 〉音感について 2 調弦
先日来、いろいろなサイトや掲示板で見た、「平均律の音をバラバラに覚える」音感教育を唱える先生の多さに絶望しているのですが、そんな中で興味あるやりとりがありました。それは、「平均律で調弦ができるだろうか」という問題です。「調弦は平均律ですべき」と主張している先生が意外に多いのです。 普段、純正の五度に調弦する習慣があるプレーヤーでも、ピアノと演奏するときなど、調弦を「やや狭めに」合わせることがあります。そうすると当然五度は「普通 に演奏したのでは合わない」状態です。しかしなが... -
5.音程矯正法
最初に、指導法研究会用の資料に目を通してください。 ************************ 音感を鍛えること、音程矯正法 1)音感とは何か まず、音感とは何かということを定義する。音感とは、音を判定する能力のことである。音には、高さ、強さ、音質などのさまざまな要素がある。複数の音になると、音の間隔を判別すること、協和するかしないかを判定することなどの要素も増える。これらを聞き分け、何らかの判断(音の高さが合っているか、はもっているか、強弱の差を認知するなど)をするこ... -
6.速くすること
まず、サイトに上げた文章を再掲します。 ************************* 速いパッセージを練習するために言われてきたことはたくさんあります。主に推奨されてきたトレーニング法は、 1)ゆっくりからメトロノームなどを使って徐々に速くしていく 2)限界より少し速いテンポで強引に弾いて動きを作っていく 3)指を指板になるべく近づけて置いて、小さな動きではっきりとした運指ができるようにする 4)同じ動きをくり返し練習して反応を速くする 5)無駄な動きをとる、脱力を確認する... -
lesson 1-6「音の形を認識しよう」
音に形があるの?一体何のことだかわかりますか。 音・・・これはとても不思議なものです。よく使われる言葉でも、「音の形」(そんなもん、見えるんですかぁ?)「速い音、遅い音」 (音速は温度などの条件次第で一定でしょ?)「深い音」(音は波でしょ?深さって何ですかぁ?) などなど。どのような意味なのか、ちょっと考えてしまうことがありませんか。 かくいう私も、トレーニングをしているときに、イメージしていることをなるべく正確に伝えるためにどのような言葉を使ったらよいのか、言葉遣いで悩むこ... -
〈 講座06 〉レッスンの必要性と先生の選び方
さて、実際にヴァイオリンを始めようとします。楽器を買って、教則本を買って・・・ちょっと待ってください。ヴァイオリンを弾くために、レッスンは必要不可欠でしょうか。また、そうであるならば、どのような先生が良いのでしょうか。(実は、このテーマは「大人になって始める楽器」にかなり詳しく書きました。書いてから10年たって、私も経験値が上がり、いろいろと書き足りないことも出てきたのです。ですから、この章は、この「大人になって始める楽器」の項目のヴァイオリン向け改訂版という位置づけです「... -
7.左手の基礎訓練・・開くことと縮めること、強くすること、速くすること、安定させること
スキルを上げることは一回の講座でできるようになる訳ではありませんが、今回はさまざまな問題点への対処法を示して、左手の訓練の考え方を構築する一助になれば、と考えています。 左手の訓練を大きく分類すると、 1)手の運動自体の訓練 2)頭の働きの訓練 3)手と頭のコンビネーション 4)耳との連動 5)右手との連動 の五通りになります。それぞれ、練習方の考え方は異なるのは当然で、この峻別ができていないと的外れな訓練になってしまって効果が上がりません。 例えば、速いパッセージで指の運動が間... -
〈 講座07 〉楽譜と楽語、頭の中で音が鳴ること
ヴァイオリンを始めたいという相談を受けたとき、よくあるのがこのことです。「楽譜が全く読めないのですができるでしょうか」という方から、「固定ドでしか歌えないのですがヴァイオリンを弾けますか?」などといったやや専門的なものまでいろいろなパターンがあります。ここでは、楽譜、楽語の問題を、一番始めから比較的高度なところまで、一気に書いてしまおうと思っています。(もちろん、具体的な楽譜のシステムや楽語の話は書きません。そのようなものが別に存在していることを前提に書いています。) ◎ ... -
lesson 1-7「合わせるということについて」
やっと「アンサンブルのレッスン」らしい題名になりました。まず、「合わせる」ということについての根本的な私の考え方を述べてみます。 よく、「指揮を見る」とか「ソロに合わせる」「トップに合わせる」などという表現を使うことがあります。これらの言葉が持つ意味は、一体どのようなことなのでしょうか。 まず、二人でする演奏について考えてみましょう。「ヴァイオリンソナタ」などのようなものでもいいですし、同族楽器のアンサンブルでもかまいません。さて、この二人が「息のあった」演奏をするためには... -
〈 講座08 〉楽器の選び方・買い方
いよいよ楽器の購入です。 すでにレッスンにつく先生が決まっている場合は、先生に相談するのが一番無難な方法です。これからお付き合いするわけですから、先生の意向も伺っておくことは大切だと思います。しかし、一つだけ残念な現実を書いておかなければなりません。それは、一部の先生が、楽器商と「癒着」しているということです。 私が初めて後輩を楽器屋に連れて行った後、何人かのお弟子さんを持ちました。二十歳過ぎの頃です。その楽器商は、私が自分の先生に任されてお弟子さんを持っているということを... -
8.右手の練習法
総論部分や各論(速度を上げること、左手の練習法など)で取り上げた基本的な発想は、右手の練習法にも全く当てはまります。ここでは、右手の練習に特有なポイントに絞って、練習法の構築術を考えてみましょう。 (1)基本的な留意点 右手の練習をするときに最も大切なことは、楽器が鳴っている状態が基本にあることです。どのような奏法を練習するときでも、楽器が鳴っていることを意識しなくてはいけません。ppで演奏するときであっても、楽器が鳴っている状態と鳴っていない状態では、比較にならない差がつ... -
9.メトロノームやチューナーの使い方
あちこちで、コルグのOT-12のことを書いている身としては(苦笑)、チューナーの使い方についてもきちんと述べておく必要があるでしょう。そもそもOT-12のことを取り上げたのは、現在、普通に買えるチューナーで平均律以外の測定ができるものがこれしかなかったからです。チューナーはきちんと使えば、音程を修正することができる「可能性が高い」機器ですが、使い方を間違えると全く意味をなしません。そのあたりのことを理解していただくために、チューナーの効果的な使い方を知っていただきたいと思います。 ... -
〈 講座09 〉楽器を持つ前に
さて、楽器も買った、レッスンの予約もした・・・あとは楽器を持って弾いてみるだけです。レッスンは来週なんですが・・・せっかく買ったヴァイオリンが「触って、触って」と声をかけているようです。ええい、ちょっとならいいや、せっかくだから弾く真似でもしてみよう・・・ もちろん、初めての愛しの楽器を「触るな」とは言いません。自分の楽器に愛情を持つことは、ひょっとしたら音楽を愛することと同様に重要なことかもしれません。うっとり眺めるのも、少しこわごわと触ってみるのも、とても大切なプロセス... -
〈 講座10 〉体でする音楽と表現することの重要性
まず、遠くない将来の話から入ります。発表会で、何かの曲を弾くことにしましょう。さて、何を考えて練習したらよいでしょうか。もちろん、「音程をしっかりとって」「リズムを正しく」「強弱をつけて」「フレーズをしっかり」等々、いろいろな要素があるでしょう。そういったことに加えて、「音楽を体で感じていますか?」ということを、ここでは話題にします。 ヴァイオリンを演奏している人を見て、「かっこいいなぁ」と感じるのはどういう演奏をしている人でしょうか。五嶋みどりやヴェンゲーロフ、クレーメル... -
10.エチュードの使い方、練習法
エチュードの利用法は、生徒側の問題というより、指導者側の理解の問題でしょう。今回は、私がどのような意図でエチュードを使っているかということを説明するので、練習の効率化、理解の一助にしてください。 (1)奏法を実践的なものにする エチュードの練習にはたくさんの意味合いがありますが、最大の目的は、理解した奏法やテクニック、音楽的な処理を実践的に習得することです。奏法を例に取れば、最初は基本的な運動を理解していただき、開放弦、スケール、単純な運動などで覚えていただいた後、エチュー... -
〈 講座11 〉音程の重要さ・ヴァイオリンの音程の秘密
楽器を持つ前に、もう一つだけ加えさせてください。それは、ヴァイオリンという楽器の音程の不思議さと、音楽を奏でる上で如何に音程が重要か、ということです。 音程、これは、とても難しいものです。特に楽器を持ったばかりの人にとっては、「大体このあたり」に指を持っていくことでも大変ですね。初めのうちは、何回弾いても同じところに指が行かずに苦労します。それなのに、楽器を持つ前から音程の話なんて・・・恐らく、多くのヴァイオリンの先生が顔をしかめることでしょう。しかし私は、楽器を始める前だ... -
〈 講座12 〉楽器の持ち方・弓の持ち方
さて、とうとう一番書きたくない話題に到達してしまいました(^ ^;; 本当ははしょろうかと思ったのですが、そういうわけにもいきません。ただし、目次のページにも書きましたが、これは「こうしたら持てる」というものではなく、あくまで考え方を述べたものです。レッスンやお持ちの教材の検討材料としてお読み下されば幸いです。 ◎ 楽器や弓を持つ時に何を考えたらよいか ◎ 楽器の持ち方、弓の持ち方に「正しい唯一の形」は存在しません。そして「楽器の持ち方は進化する」のです。まずそのことをしっかり覚え... -
〈 講座13 〉脱力のワナ
「楽器を持つ前に」でも少し触れたのですが、もう一度「脱力」について書いてみようと思います。最近のレッスンで大きな問題になって、さらに細かく説明する必要性を感じたからです。「脱力」と一言で言ってしまうのはとても簡単ですが、本当に脱力できているのかどうかということを確認しないと、とんでもない勘違いをしてしまうことがあります。それは、生徒だけでなく、先生にも起こり得ます。それを知らないと、ヴァイオリンの上達にとって、大きな阻害要因になってしまうのです。 特に「肩」の問題を取り上げ... -
〈 講座14 〉ボウイングの考え方と右手の鍛え方
ボウイングについてきちんとしたことを書こうとすると、それだけで一冊の本になってしまうでしょう。また、ボウイングは一人一人違うものであり、ある記述がすべての人に役に立つとは限りません。ここでは、そのことを前提として、右手の考え方について知っておいてほしいことを書いておこうと思います。 ボウイングのシステムについて 「ボウイングは一人一人違う」と書いたのには、二つの意味があります。一つは、ボウイングの発想そのものが一通りではないということです。私は、「ボウイングのシステムの違い... -
〈 講座15 〉スケールの重要性
スケールを練習することがどれほど重要か、ということをいくつか述べてみます。 よく、「曲というのは、ほとんどの部分がスケールと分散和音と和音でできている。だから、スケールや分散和音を練習することは、曲を弾く技量にも直結する。」という言い方をします。これはこれで真理だと思います。「だからスケールをたくさん練習しましょう。」これだけではあんまりですので、少々理屈をこねてみます。 まず、音程感覚の問題です。これについてはさんざん書いてきました。つまり、「旋律的な進行を知るためには、... -
〈 講座16 〉1の指の位置
今回は、左手の1の指について考えてみましょう。 これまで僕が出会った恐らく100人を優に越えるレイトスターターのほとんど全員が、1の指を「余り使われない中間の位置」で覚えていました。中間、と書いたのは、開放弦とはもる二つの位置のほぼ真ん中だ、ということです。(開放弦とはもる二つの位置については、「同じEでも場所が違う」を参照してください。) この事実が何を物語っているのかというと、レイトスターターを教えているほとんどの先生が、指の位置を「平均的な場所でまず形を作って覚えさせる」... -
〈 講座17 〉左手の考え方と訓練
今回は、左手の考え方と訓練法について簡単に述べてみます。 左手をどうやって鍛えるか、ということを考える前に、まず左手がどのような状態にあればよいのか、ということを少し考えてみてください。左手について考える場合、「左手の形」には気を付けている人が多いと思うのですが、左手全体をきちんと考えてられている人は以外に少ないようです。 左手の運動性能を落とさないような形と基本性能の獲得 まず、楽器の構え方からチェックします。楽器を構えるとき、左肩が極端に上がっていたら問題。肩に力が入って... -
〈 講座18 〉音の立ち上がり
アンサンブルのページでも簡単に述べたことですが、今回は音の立ち上がりについて書いてみます。 アマチュアプレーヤーの多くが「どうも反応が悪い」という印象を自分の演奏に持っています。事実、プロの演奏と比べると、あきらかに「鈍い」ことが多いのです。これには幾つかの大きな原因がありますが、一つは「弓の速さ」の問題、もう一つが「音の立ち上がり」の問題だと思っています。(弓の速さの問題も「大問題」ですので項を改めて書いてみたいと思います。) 音の立ち上がりが「悪い」「遅い」「鈍い」原因... -
〈 講座19 〉ヴィブラートの不思議
ヴィブラート・・・これも、多くのレイトスターターを悩ませてきた課題です。今回は、この課題に取り組んでみます。何のためにヴィブラートをかけるのか。ヴィブラートにしくみはどうなっているのか。レイトスターターの多くが、意外にこのことを知りません。少しだけ掘り下げてみます。 ヴィブラートは、音程を変化させて音に変化を与えるものです。これにより、音が柔らかくなります。物理的に言うと、一定の音程の波は基本的に波形が変化しませんので、人間の耳に一定の刺激を与え続けます。これに対してヴィブ... -
〈 講座20 〉ポジション移動の原則
今回は、ポジション移動について考えてみましょう。 まず、なぜポジション移動をするのかを考えてください。「当たり前じゃない、ファーストポジションじゃ弾けない音を弾くために移動しなきゃ弾けないからでしょ」その通りです。ではそのためには何を考えなければならないか。 ポジション移動は、ファーストポジションの範囲外の音を取るために行うことがスタートです。ニ長調のスケールを例に取ってみましょう。D線からスタートして、2オクターブ進むことを想定します。最後はE線のD音ですから、サードポジシ... -
〈 講座21 〉弓の速さ(まだ記事はありません)
-エントリがありません- -
〈 講座22 〉速いパッセージの練習1
少々早いのですが、今回はリクエストのあった「速いパッセージが弾けない悩み」についてです。二つの問題に分けて書いてみます。 速いパッセージを練習するために言われてきたことはたくさんあります。主に推奨されてきたトレーニング法は、 1)ゆっくりからメトロノームなどを使って徐々に速くしていく 2)限界より少し速いテンポで強引に弾いて動きを作っていく 3)指を指板になるべく近づけて置いて、小さな動きではっきりとした運指ができるようにする 4)同じ動きをくり返し練習して反応を速くする 5)... -
〈 講座23 〉速いパッセージの練習2(阻害要因の抽出と頭の問題)
◎ 速く弾けない原因の抽出法 ◎ 速く弾けない原因の探り方を考えてみましょう。原因が異なれば、当然、練習法も違ってくるはずだからです。「左手が回らない」と感じた場合でも、真の原因の可能性は多岐にわたります。原因がわからないと対策が立てられないのは、いつも述べているように、病気を治すことと同じなのです。 (以下は、生徒向け講習会の資料の抜粋です) 左手にしろ右手にしろ、運動そのものができない場合がもっとも根本的である。左指が速く動かない場合は、まず運動そのものがそのスピードに達す... -
〈 講座24 〉デタシェについて
先日、アメリカで活躍している、ジュリアード出身のヴァイオリニストとお話をする機会がありました。楽しいお話がいろいろできたのですが、その中で「デタシェ」が話題にのぼりました。デタシェはいわばボウイングの基本とも言えるもので、皆さんも苦労されている方も少なくないと思います。私は何回かデタシェについて触れましたが、簡単にまとめてみたいと思います。 デタシェは、通常フランス語で「detache」と書かれますが、英語でこの言葉に当たるものは「de-touch」で、「接触しない」(touchの反対語)です... -
〈 講座25 〉指の分離 4題
最近のマイブームは、指の分離です。これには二つの意味があります。一つは、指同士の分離で、もう一つは、指と手首の分離です。これに、指の腱の使い方(伸筋と屈筋の選択的使用)、さらに、指の各関節に対する分離の二題を加えたものを、私は「指の使い方」として考えています。これらの問題は、脱力系(筋肉の選択的利用)の最高度の問題で、私の生徒さんの中にも、苦しんで来た/いる人がたくさんいる問題でもあります。これらは、不可分の問題なのですが、四点に分けて書いてみようと思います。 (1)指と手... -
〈 講座99 〉音程が「悪い」と音程が「無い」
音程が悪い、と自分で言う人がいます。人の演奏を聴いて音程が悪いと感じることもあるでしょう。それでは、「音程が悪い」とは一体どういうことなのでしょうか。いくつかに分類して考えてみると、1)はずす、2)間違える、ないしちょっとした勘違い、3)根本的な勘違い、4)知らない、の四つのパターンが考えられることに気づきました。 1)はずす これは症状としては軽傷です。自分が演奏すべき音程はわかっているが、技術的に弾けない、ないし、練習不足で上手く弾けない、といったときに起きることだから...
12
